第79回 日本整形外科学会学術総会 発表 抄録
演題名:円背の睡眠障害と枕の高さ調節による症状改善の評価
Improvement of sleep disturbance caused of round back using the adjusted pillow.


【目的】
脊椎の彎曲異常は日常生活に障害を引き起こす。我々は円背の夜間使用する枕をSSS法で調整し、睡眠障害と脊椎症状の改善を評価した。

【対象および方法】
円背50例、男9例女41例、年齢は65歳~88歳平均77.1歳。胸腰椎圧迫骨折を伴う構築性円背15例、非構築性円背35例、観察期間は1~107週平均23.4週。SSS法は側臥位で頭部体幹の中心線が臥床面に水平、仰臥位で頚椎傾斜角15度前後とする枕の調節法で適合を寝返りで確認する。単純X線仰臥位頚胸椎側面像で胸椎後弯と頚椎前傾角を検討、日整会治療成績判定基準改変Pillow Score(以下PS)とアンケートで評価した。

【結果】
PS45点満点で、枕調整前平均26.5点が調整後36.8点改善55.7%、自覚症状6.3点が8.4点改善77.8%、他覚所見6.5点が8.1 点改善45.7%、ADL8.2点が12.5点改善55.1%、満足度0.7点が1.9点改善92.3 %(全P<0.005)であった。夜間症状は調整後寝返り28例中26例改善!
92.9%、不眠37例中34例改善91.9%、トイレ回数は3.1回が1.5回改善49.7%、起床時肩こり39例中36例改善92.3%、頭痛17例中16例改善94.1%、手のシビレ19例中17例改善89.5%と有意に改善した。仰臥位頚椎傾斜角は5~25°平均11.6°で、構築性円背8.8。、非構築性円背16.8°で差が大きかった。

【考察】
SSS法はPSを有意に改善した。円背が適切な枕で寝返りすることは睡眠障害の改善に重要と考えた。非円背2284例の枕の高さと体格の相関を調べたが男949例で身長と枕は相関係数(以下R2)=0.811、体重と枕R2=0.898、女1205例で身長と枕R2=0.842、体重と枕R2=0.737と高い相関を示した。円背130例男女の体格と枕に相関はなかった。円背は体格から枕の高さ推定は困難だが、構築性、非構築性に分類し仰臥位頚椎傾斜角を知ることが指標になると考えられた。