2014.04.18 第43回日本脊椎脊髄病学会

第43回日本脊椎脊髄病学会
寝具調節による睡眠位置と睡眠姿勢制御の終夜観察と解析

第43回日本脊椎脊髄病学会
場所:国立京都国際会館
寝具調節における睡眠位置と睡眠姿勢制御の終夜観察と解析
山田朱織(16号整形外科 ),勝呂徹(東京医科大学整形外科),星徹(東京工科大学コンピューターサイエンス学部),小日向肇(山田朱織枕研究所),遠藤裕一郎(山田朱織枕研究所)

【はじめに】一人一人異なる体格の人間が至適睡眠姿勢をとるためには、その人の身体各部に適合する寝具の調節が必要と考える。我々はX-Pの脊椎骨盤アライメント(SPA)計測やモーションキャプチャによる寝返り運動解析から、静的睡眠姿勢(仰側臥位)と、動的睡眠姿勢(寝返り)によって枕と寝台の適合を判定し調節するSSS-T法 を考案した。本法で調節した寝具を用いれば、終夜適切な睡眠位置と睡眠姿勢で眠るよう制御が可能かを観察し解析した。

【対象と方法】対象は成人17名(男9名、女8名)、平均年齢42.4歳(30~67歳)。SSS-T法で肉眼的に仰臥位矢状面SPAと左右側臥位冠状面SPAを調整する。SPAの決定において、寝具条件により調節を行うべき身体各部の重要ポイントは、仰臥位の第7頸椎、第7胸椎、第4腰椎、仙骨、側臥位では肩峰、大転子付近である。寝台は各ポイントを個別調節できる3列×3行=9個のばね定数の異なるコイルばねユニットからなる。まず中央列にて仰臥位各ポイントを調節し、次に側臥位となり左右列を調節する。最後に寝返りのスムーズさを確認する。寝具条件は寝具Aを調節した至適枕と寝台、寝具Bを調節した至適枕と従来使用の自宅の寝台とした。各3日間終夜ビデオ撮影する。映像から睡眠位置(中央列C、右列R、左列L)と睡眠姿勢(仰臥位s、右側臥位r、左側臥位l)の組み合わせ時間経過を記録する。睡眠位置と睡眠姿勢が一致(C-s、R-r、L-l)した時間割合を一致率とし、A,Bの一致率(平均±2SD)を比較し有意差(p値)を検定する。

【結果】 被験者17名中13名(76.5%)の一致率は、A>Bとなり、4名(23.5%)はB>Aとなった。前者13名のAでの一致率は0.85±0.25、Bでの一致率は0.64±0.38で、A,B間に有意差が認められた(P<0.01)。後者4名のAの一致率は0.28±0.40、Bの一致率は0.48±0.35で、A,B間に有意差を認められなかった(P>0.05)。ビデオ解析では、うつぶせ寝や呼吸障害による大きな体動が観察された。【考察】本結果より、76.5%の被験者において、我々が考案したSSS-T法に基づく寝具調整法により睡眠位置と姿勢を有意に制御できる可能性が示唆された。一方、残りの4例の被験者においては、A,Bとも一致率が低く有意差が見られず、寝具条件以外に影響を及ぼす要因があると考えられた。
ポイント本文:
個人に適合する枕と寝台条件を調節し終夜観察と解析を行った。睡眠位置と睡眠姿勢
を有意に制御できる可能性が示唆された。

英語演題名:
Overnight Observation and Analysis of Sleep Position and Posture Control by Adjusting Pillow and Bed